合宿7日目(4年鈴木)

「香港でビジネスをする、とは」
午前にシティースーパーという高級スーパーを訪問しました。
まずスーパー内を見て回りつつ担当の方から説明を聞きました。
買い周り需要と特別な需要(新しい何か、プレミアな何か)があり、私達学生陣が生活の中で通うスーパーマーケット、例えばセイユーやらイトーヨーカドーはコストリーダーシップをとることで利益を生み出します。それらとは異なるコンセプトで運営されています。価格競争はしません。香港に4店舗、上海も4店舗、台湾は7店舗といった具合に出店しています。日本でいう丸ビルなど、高級な主要ビルにのみ出店し、質や種類で勝負する、エンターテイメントとしてのスーパーです。常に新しい物があるという楽しみです。
商品ラインナップについても説明を受けました。中国の方々は、低脂肪は身体に良くないとの考えから生のサラダはほとんど食べられていませんでしたが、考えの異なる若者は食べ始めているため置かれています。アメリカやオランダ、香港、日本など、様々な国の良いものを仕入れて、それらの国の文化を輸入しています。大体バイヤー1人で1つのカテゴリーを担当しています。適正に仕入れて、地元の農家を応援する取り組みもしています。西と東の人が混在する香港であるため、両方の文化に対応できるものを揃えています。中でも粘着性のある商品を集めています。例えばお菓子ならば蒟蒻ゼリーです。ヘルシーフード、ダイエットフードが人気なようです。価格設定も悩みのタネだそうです。理由は顧客が適正価格をかなり正確に把握できてしまうこと、いい品揃えをしているが故に転売や真似をして競合他社に仕入をされ、安く売られてしまうことがあります。
香港人は日本が好きで、1年で幾度も訪日します。そこで価格を調べられます。輸入品という事もあり、通常よりもコストは高いです。更に、シティースーパーに来て買って安値でインターネットに売られてしまう事もあり、大変なようです。
その後荻野様のお話を聞きました。
51年前に香港でお店を始め、数ヶ月で売れなくなり、4、5年は苦労をしたそうです。その後製品(ニット)の対日輸出を始めた折にソゴウが香港に進出。スペースをもらって小売を始め、多くを学ばれました。そしてプラダのアジア進出を手伝ったところ2、3年で爆発的に売れ、月に一坪500万売上を出したそうです。1996年、その爆発的に売れた年にご自身のシティースーパー1店舗目を出店されました。
「日本と香港、日本と中国はどう違うか」についても説明を聞きました。
日本と香港では法律、税収の面で大きく事情が異なります。
香港は所得税が低く(法人税は上限が16.5%
個人は15.5%)、日本は高い(40%)です。香港はほとんどの物は関税がかかりません。(例外は自動車、石油、ワインを除くアルコール。)日本はほとんどの物に関税かかり、農作物などは特に高いです。香港はキャピタルゲイン(資本を出すことで得た利益)に対する課税がありません。例えば株式、不動産によるものです。日本は課税対象です。ただし、香港は社会保障に対して会社が負担しません。例えば健康保険、失業保険、年金制度はありません。日本は高福祉社会を目指しています。香港は労使関係が柔軟だから雇用主、労働者どちらにも緊張があります。つまりは会社側がすぐにクビを切れるということです。逆に、いい人材でも辞めたいと言われれば止められません。日本は法律に縛られ辞めさせるのも一苦労です。香港の基本の考え方は「自己責任」です。税制、労使関係の柔軟性などから香港のビジネス環境はNO.1と評価されています。
日本と中国では歴史認識、文化、言葉、食事、法律への考え方(守るか破るか)はほとんど合わないため、直接の中国進出は難しいとのことです。日本→香港→中国という順番でビジネス展開するなが有効だと思われます。香港と日本は合う面が中国より多いです。法は守り、英語が使え、食事も合い、文化も合い、歴史認識は中国よりは合います。つまり、中国との関わりが深い国の大企業と組んでビジネスをした方がよいということです。直接日本企業単独で乗り込むだけでは失敗を繰り返します。香港は財政も黒字です。1人8万円ほどの高額還付があったそうです。
ITを通した小売が急進しているが、小売業としてどう考えているか、という問いにはどうなっていくかは未知数ではあるが、価格競争はしない方がいい、とのことでした。

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