深圳とアリババで調達してキャンパスライフを便利にする

演習では、(1)新興国における企業の戦略を学ぶこと、(2)現場でのフィールドワークを必ず行うことを原則にしています。特に、3年生の演習は1年間じっくり取り組むことができるので、フィールドワークを軸にした活動を行ってきました(2014年の活動、2015年の活動、2016年の活動)。経営学科と経済学科の学生が参加する演習は、教室での学びを現場で体験するプロセスとすることを考えています。渡邉の研究テーマは、中国を主とする新興国企業の戦略の経済分析です。渡邉のフィールドである中国で、経営学・経済学の学びの場になることを試みてきました。

2017年の演習の活動は、「深圳とアリババで商品を調達して、キャンパスライフのあったらいいなを実現しよう」というテーマとしました。実際に「世界の工場」を利用して商品を企画し販売する、というプロジェクトを進めています。

ものづくりとアントレプルナ―シップの基本を確認しながら、商品企画を進めています。商品をつくるとき、消費者がだれなのか、その人たちに対してどういう便益を提供するのか、という、製品の便益・製品コンセプトをつくるところから始まって、コストを管理し、収益のしくみをつくり、値段をつけるという流れのなかで、抑えていくポイントを勉強しつつ、自分たちのアイディアを検証しながら、企画を鍛えていく進め方で行くことにしました。

この作業を行うときの参考書として、次の2冊を選びました。

忽那憲治編 アントレプレナーシップ入門 — ベンチャーの創造を学ぶ (有斐閣ストゥディア)
富野貴弘 この1冊ですべてわかる 生産管理の基本

あらためてこの2冊を読んで、日本のこういう学部向けのテキストはよいものが多くなっているなあ、と思いました。専門的な論理がしっかり背後の脊髄として入っているけれど/入っているゆえに、誰が読んでも何が書いてあるかがクリアです。読む人が読めばひとつひとつの段落の背景に、論文が一本ずつ入っているぐらいの濃度であるのに感心するレベルだけど、そんなことを知らなくても、キャッチコピーの羅列じゃなくて、きちんと論理を習得できるつくりになってます。

 

11月の学園祭で、自分たちの仲間に売る、というかたちでターゲット層を絞ることにして、その製品の便益は何なんだろう、誰にどういう価値を作っているのだろう、と考えてもらいました。4月当初、次のようなアイディアからスタートしました。全部で4チームのうち、ひとつのチームは、春休みの宿題として渡しておいた『メイカーズのエコシステム』のなかのGoProのアクションカメラのところが印象深かったので、「格安アクションカメラを写ルンですみたいにつかう」のを提案するといいんじゃないか、というアイディアでした。次のチームは、スマホ用のモバイルバッテリー、マルチモバイルバッテリーと言っていました。そして最後のチームは、大学キャンパスで買えなくなったたばこの代わりに「電子たばこ」と言っていたのに、やっぱりモバイルバッテリーということになってました。どうも、いまどきの大学生にとっては、スマホの電源切れ、というのが、困っていて解決してほしいことであるようです。さて、このあと最後はどんな企画になっていくのか。